Background Image

K-works Project ①

株式会社ケイワークス キャンピングカーの製造・販売

「ぬくもりのあるキャンピングカーで家族と仲間との絆を深める」

2012.08 start written by 岩月正直

始まりは、燃え尽きたあとの悩みからだった

株式会社ケイワークス代表取締役黒田 功

 社長の黒田さんは、20代の初めから30歳までのおよそ10年間、オートバイ・レースに青春のエネルギーをすべて捧げていました。鈴鹿耐久ロードレースに幾度も参戦し、スリリングなレースの駆け引きに胸を熱くし、日常の仕事では得難い経験をたくさん積んだといいます。しかし、無理がたたって体の故障も重なり、引退を余儀なくされました。

 仕事では、外車の営業販売などを手掛けていましたが、折からのバブル景気崩壊にも遭遇してうまくいかず、レース引退後は、何かが自分のなかで燃え尽きてしまったかのような気持ちに襲われ、人生の目標は何だったのか、人生の充実とは何なのか、悩みに悩んだといいます。

 好きなことを好きなだけできた10年間だったそうですが、それは結局、自分だけの喜怒哀楽に終始していたに過ぎず、レースを続けるにも数多くの人に支えられ、活かされてきたという事実になかなか気付けなかった、と当時を振り返ります。

 そんなとき、ふとしたきっかけで、キャンピングカーというものに出会うことになります。レースをしていたことで、公道を走れないレース車両をワンボックスカーに積んでレース場まで運びます。それで、トランスポーターには造詣が深まり、ここにバイクの代わりに人を乗せて楽しめたら…と、ひらめくものがあったそうです。

 人間関係にも苦しんでいた時期と重なったので、まるで救いを求めるようにキャンピングカーの製造にのめりこみ、必死で学び始めます。こころざしを共にする人たちといっしょに汗を流す「ものづくり」の現場は、いつも発見と工夫に満ちていて、時間を忘れて車づくりに取り組んだそうです。

 もともと好奇心が強く、ワクワクしやすい性格の黒田さんは、ああしたらどうだろう、こういう工夫は面白くないか…と、アイディアは次から次へと湧いてきたと言います。そして、自分が手塩にかけて製造した車がお客様に喜んでもらえた瞬間、なんと晴れ晴れと嬉しかったことか、それは今でも忘れない感動だそうです。その後の人生を変えていく「ものづくり」との出会いを、黒田さんはこう回顧します。

 「気持ちをこめ、持てる技術の粋を集め、最良の素材を選び抜いて仕上げた車が、お客様から笑顔を引き出すんですよ。わたしは、そのとき、お客様の笑顔に救われたと、胸が詰まりました。人と人との間に流れる共感というものが、いかに大切で、いかに喜びに満ちたものであるか、このとき腹の底から実感できたんです。わたしが迷いながらも求めていたものはこれだ!と、はっきりつかめたのですが、これもまた人が分けてくださった財産だったのですね。自分は『ものづくり』にこれからの生涯を賭けようと覚悟が定まりました」

人気が出始めたのに集客力不足で苦労する

バンコンバージョンキャンピングカー

 こうして当時の思いを切々と語る黒田さんは、立ち上げた株式会社ケイワークス(Kworks)で、お客様が求めるキャンピングカーのなかに自分が思うアイディアをさらに積み上げ、お客様といっしょに世の中に1台しかないオンリーワンの製品を生み出すスタイルにこだわっていきます。

 従来のキャンピングカーは、西欧スタイルを似せた豪華装備付きのキャブコンと呼ばれる高価なものが主流でした。しかし、日本の住宅事情・道路事情には合わず、手軽に車中泊旅行やキャンプ旅行に出かけることは難しく、一般ユーザーからは非常に敷居の高い乗り物とみなされ、普及のさまたげになっていました。

 そこに登場したのが、ハイエースのような市販のバンタイプ車両に家具やベッドを架装して、キャンピングカーに変身させる「バンコン」(バン・コンバージョン)と呼ばれるエコノミー・クラスのキャンピングカーです。このトレンドにいち早く着目した黒田さんは、三河家具職人の手作り家具を備え、何年経っても飽きがこない耐久性のあるバンコンを製造して、手軽に車中泊を楽しみたいと思っていたファミリー層や定年退職後のご夫婦から、絶大な人気を博するようになりました。

 小規模工房からの出発でしたが、高い理想に向けて、着々と良品を生み出していきます。ところが、簡易な手作りホームページを使ってブログ発信を続けていても、あるときから集客数が思うように伸びず、売り上げも低迷していきました。これではいけないと、さまざまな情報を盛り込んでいくうちに、逆にとても見づらいホームページになっていることにも気づいたそうです。

 これだけの高品質でセンスもよく、従来の大型キャンピングカーに比べて圧倒的に廉価で使い勝手のよい車両の情報が、欲しがっているお客様の手元にまったく届いていない…。年に何度か各所で開催されるキャンピングカーショーに出展すれば、来場者には同業他社との違いを一目瞭然にわかっていただけて、購入につながっていくのですが、そこから先の集客展開がうまくいかなかったのです。

 そのときピアワークスとの出会いがあり、ホームページの制作と管理運営、パンフレットやチラシの制作、プロモーション・ビデオの制作、作業状況の撮影から完成車両の撮影に至るまで、広報活動に関わる業務の全面委託をいただきました。

NextPage
次のページへ